ポテトサラダは焼くと旨い ~LONDON PUB RAILWAY TAVERN~

やあ。

今夜は神奈川県藤沢市にある、ちょっと穴場なお店をご紹介したい。

藤沢は、湘南と呼ばれる地区では最大の人口を誇るらしく、JR東海道線、小田急江ノ島線、江ノ島電鉄が乗り入れるちょっといい感じの街だ。古都鎌倉や鵠沼海岸といった観光地への玄関になっている。これらの街へ出かければ、それはまたそれで楽しいこと尽くしなのだが、今回はあえて藤沢。そんなところがちょっと通っぽくて良くないか?

しかし穴場といっても、その店はかなり目立つところにある。なんと藤沢駅の構内だ。改札を出て右手、徒歩30秒もかからずに着く。

~LONDON PUB RAILWAY TAVERN~

そのお店は株式会社日本レストランエンタプライズが経営するチェーン店で、慌ただしい駅中にあるチェーン店というだけで素通りしてしまう人も多いかもしれない。しかしこれが、灯台元暗しというやつ。照明に浮き上がるオレンジの看板に水色とグリーンの中間のような色の文字で大きく「CAFE/BAR LONDON PUB」、コーヒーカラーの入り口もなかなかお洒落だ。通行人が多かったので店頭の写真はないが、食べログとかに載ってるので興味があったら検索して見てほしい。改めて写真を見てみると、やはり悪くない。

店頭のイーゼルの上を覗き込むと、コーヒーはもちろん、ホットドッグなどの軽食、樽生のヒューガルデンや英国王室御用達のバスペールエールなどのメニューが目を惹く。

「軽く一杯、行こうじゃないか。コーヒーでもビールでも」

そんな「男のカフェ」を絵に描いたような、小粋なラインナップである。

そしていざ視線を上げると、小さなカウンターは、なるほど、お客さんでいっぱいだ。勇気をもって、群衆の中に飛び込んれみれば、そこは「修学旅行生のやってくる大きな神社のある町」でも「サーファーたちが集う海」でもなく、何処かの都市……例えばそう、まさにロンドンの街角だ。

カウンターの中では「ザ・兄ちゃん」という感じの若い店員さんが切り盛り。ほろ酔いの常連さんを「マジっすか」「ヤバイっすね」と朗らかにあしらいながら、サーバーからビールを注ぎ、新参者にもすぐにオーダーを伺う一連の所作は、一つのプロフェッショナル。カウンターからはビールサーバーをはじめ、コーヒーマシーンも、山積みのパン、冷蔵庫もオーブンもシンクも丸見えなので、もはやライヴクッキング状態。これってわりと贅沢なことなんじゃないかと思いながら、ぼーっと所作を見つめては脱帽である。まるでキッチンの中にいるような親密感も湧いてくる。料金は前払い制で、注文の度にコインを支払う。

おつまみは、ソーセージ、チーズ、ナッツ、セロリなどの小鉢で、どれも100~200円。ビールはハーフパイントで注文することもできるので、本当の本当にに「ちょい呑みたい」という人にはうれしい。おつまみも軽食も基本的には見た目そのままの味だが、それがまたいい。

 ふかふかのチーズドッグは、モーニングにも夜食にもぴったりだ。

しかし、なんといってもお勧めはポテトサラダを使ったメニュー。

これだけは、頭一つ飛び抜けて旨い。

「ポテトサラダは、焼くと旨い」

知っているつもりでも、この言葉の本当の意味を知る者はどれだけいるだろうか。アンチョビソースか、チリソースをかけたポテトサラダをオーブンで焼いたグラタン風の料理で、これもなんと200円ぽっきり。コテコテのチーズグラタンほど重くなく、じゃがバターという感じで、そこにアンチョビとチリの塩気・酸味がほどよく聞いている。寒い、風か雨か雪の日に訪れて、熱々のこれをちびちびいただくなんて、至福といわずに何だろうか。

苦み走ったヒューガルデンを合わせれば、気さくな日常の風景に。

そしてロートレックのラベルがおしゃれなワイン「Jenard Cabernet Sauvignon」を合わせれば、ささやかながらも特別な一日が飾れる。

……呑み過ぎ注意。

ここは軽~く呑んでかっこよく立ち去るべき、粋なお店なのだ。

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