そうだ、京都、行こう。
……なんてね。嘘です。今夜も思い出のお話。
関東・東北・北陸と来たので、今夜は西へ行ってみましょうか。全国のカフェを季節も年代もランダムに、まんべんなく紹介していきたい。
京都も僕の大好きな都市のひとつ。最近は世界的観光地の地位を揺るぎないものにしているが、神社や仏閣など歴史の重みを置いといても、なお魅力余りある文化の街だ。カフェ好きにとっても一度は行ってみたい名店がそろい踏みで、京都旅行に行くと、楽しいは楽しいけれど、張り切り過ぎて疲れてしまうこともしばしばである。
そんな僕だが、何度か足を運ぶうちにこ慣れてきたのだろう、2015年の5月は、やけにまったりとした京都旅行をしてきた。日曜美術館で重森美鈴の枯山水について放送されたすぐ後に、ぶらりと美鈴の庭園を見に行くという、贅沢極まりない週末を過ごしたのであった。
枯山水を観るにあたって、あれも食べたいこれも食べたいと煩悩にまみれるのはいかがなものか、ということで、あえてほとんどプランを立てずに出かけた。そしてふと旅行の当日に、「そういえば西陣のほうって行ったことないなぁ……」などと思いつき、野良猫のようにぶらぶらとそちらに歩いて行った。
豆腐屋さんでとてもおいしい油揚げを頂いたりしながら、古い町並みを歩き続け、たどり着いてしまったのがここ。
「さらさ西陣」
築80年の銭湯「藤の森温泉」をリノベーションして作られたおしゃれなカフェだ……。 人々の生活の中で風合いを増した壁のタイルや天井が美しい。
残念ながら温泉そのものに入ることはできないが、温泉に入ったかのように骨の芯までリラックスできるレトロな空間である。BGMとして、「いい湯だな」をジャズアレンジした曲がかかっていて、これも最高だった。(後に、PE’Zの「故郷のジャズ」というCDに収録されている曲だと知り、ヴィレッジヴァンガードで購入して自宅で聴いている)
この日頂いたのは、お腹いっぱいになる冷しゃぶプレート。豊富なやさいがうれしい。ごはんに突き刺さっているのはさくっと軽い食感のあげせんべいで、この塩気がまたいい感じだ。こういう、遊び心が、いかにもカフェごはんっぽい。飲み物は、お風呂上りっぽく、オレンジジュースにしてみた。今度はコーヒーを飲みに行きたい……!
なんだかまるっきり旅行ブログみたいになってしまったが……単なるカフェの紹介だったら、ガイドブックにでも書かせておけばいい。カフェってうのは、出会いなんだよ、と。僕がしみじみ云いたいのはそういうことです。
古くて新しい。そんな京都の一角。あなたもぶらりと訪れてみては。